大雨の中、なんとか辿り着いた自転車置き場。ここは建物に近い造りになっていて、入ってしまえばもう濡れることはない。
全てと言っていい数の自転車がとめられていて、さすがに誰もいなかった。
着いた後だとあまり嬉しくないけど、響く雨音が少し弱くなった。
登校中はどしゃ降りだったじゃないかと心で呟いた。
意地悪な自然が奏でる音色を聴きながら、水の滴るレインコートを脱ぎ、軽く水滴を払って自転車のかごに入れた。レインコートと入れ替えるように鞄を持ち、空いたままの左手首にある時計を見る。
針は8時27分から28分くらいをさしていた。
走れば間に合うなと安堵の息をつき、昇降口へ向かって走り出した。



