今日は自然に目が覚めた。大嫌いな目覚まし時計の騒音に起こされるのではなく、自然に。

やはりこういう目覚めが一番だなと思いながらベッドの上で上体を起こし、伸びをした。

一体どれだけ早く目覚めてしまったのかと思い天敵である目覚まし時計に目をやると、やつは8時10分をさしていた。

一瞬本気で驚いてしまったけど、やつは私の敵である。嘘をついているのかもしれないと思い直し、ベッドから降りて壁の時計を見た。

8時10分――。お前もかと思いながらため息をつく。どうやら、心配するべきなのは2つの時計の電池ではなく、自分の遅刻の方らしい。

「やっばい」

ちゃんと起こしなさいよと天敵に軽い苛立ちを覚えた。教室へは、8時半までに着いていないと遅刻扱いになる。

学校へ行くのに約30分も掛かるというのに、目を覚ましたのが遅刻扱いを受ける20分前という悲劇。新鮮だなんて騒ぐこともなく、生地が傷んでしまうのではないかと いうくらいの勢いで制服に腕を通した。

髪の毛をとかすのは、もうお休みだ。お弁当も作らなければならないというのに、そんな余計なことをしていたら確実に遅刻してしまう。

無地のものでよかったと思いながら白い靴下に足を突っ込み、鞄の肩紐を掴んで部屋を飛び出した。