瞬の心に会えた日から、ちょうど1年が経った。私は午後から用事があると言って仕事を昼で早退した。実際、私には1年のうちで最も大切な用事がある。瞬に会いに行かなければならないのだ。

私は風のように職場を出て、雑にスタンドを上げると、自転車に飛び乗った。約束の丘を目指して重たいペダルを踏み込む。体が揺れる度にポニーテールが首をくすぐる。


しばらく自転車を飛ばし、丘の上に辿り着いた。坂道を最も重いギアで上るのは少し体力が必要だったけど、瞬に会うためなのだからそれくらいの苦労は全くいとわない。


適当な場所に自転車をとめ、辺りを見回すと自分を呼ぶ瞬の声が聞こえた。彼の姿を見つけると、彼の元へ飛び出した。

瞬に触れたい気持ちが最大になった瞬間、大好きな瞬に飛びついた。彼はしっかりと私を受け止めてくれた。3回ほどその場で回り、私を強く抱きしめた。私も同じくらいの強さで返す。

「待った?」

瞬の腕の中で尋ねると、彼は「すっげえ待った」と言った。


「1年もな」





想い舞う頃〜最初で最後の恋〜
Fin..