桜が咲いていた。隣には瞬がいる。どちらからともなく手を繋いだ。その状態でしばらく桜を眺めていると、繋いでいた手をふわりと解かれた。 「明日も会える?」 私の問いに、瞬は無言で微笑み、桜の木に近づいていった。 「瞬?」 私も、瞬の名前は呼ぶが彼を追うことはしなかった。しかし、強い恐怖感がこみ上げてきた。 「瞬っ、瞬、待って」 必死に瞬の名を叫ぶが、それはまるで意味を成さなかった。彼の背中が遠くなっていく。