想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


彼は俺に助けられたなどと言っているが、実際に助けられたのは俺の方だ。奏がいなければ、俺は最初から最後まで間違え続けていた。

彼のおかげで、俺は自分にとって愛がどれほどの存在なのかに気づいた。

自分の中ではあの日、彼女が大切だから追い返したが、実際はこうなってからも一緒にいるべき人だった。

なぜこんなことになったのだろうなどと考え、服用する薬の種類が増えた時期もあったが、今思えば出逢えたことが幸せすぎたのだ。俺にとって愛は、それほどの人だ。

愛に出逢ってから、初めてがたくさんあった。恋をして、異性と連絡先を交換した。

素直になれますように――。初めて、七夕の短冊に本気の願い事を書いた。

電話を掛けるかあんなに迷ったのも、電話が掛かってきたときに、動揺して水をこぼし、むせたのも。後ろに乗せると思うと、慣れているはずのバイクの運転に緊張し、約束の日の前日に友達で練習したのも。どれも愛が初めてだった。


それほどの人に出逢え、そのことに気づけ、そのことを気づかせてくれた人に出逢えた俺は、幸せ者だ。今なら心からそう思える。

だけど1つだけ、悔やんでいることと叶ってほしい願いがある。

愛に、言葉では表しきれないほどのありがとうと大好きを自分の声で伝えたい。どさくさ紛れにもう1つ願えるなら、愛を抱きしめたい。

愛しているだなんて難しいことじゃない。ただ、大好きなんだ。