翌週の水曜日。この日が休みだと知っていた私は、午後になってやっと目を覚ました。
先週の別れ際、奏は頑張れと私に言った。その言葉を思い出し、昨日の夜、明日にでも瞬の家に行こうかと考えた。
ベッドから降り、カーテンを開けて日光を浴びた。頭も目を覚ましたところで、ベッドのそばに戻り、枕元の携帯を手に取った。瞬に今から家に行ってもいいか尋ねるメールを送った。
しばらくして『いいよ』の3文字が返ってきた。
ポニーテールに白いリボンを結び、濃いピンク色のトレーナーに黒いナイロンの上着を羽織って1階へ下りた。リビングの扉を開けると、ソファでテレビを観ていたお母さんが大袈裟なくらいに驚いた。
「ちょっと、驚かせないでよ……」
別に驚かせてないよと笑い、「ちょっと出掛けてくるね」と残して扉を閉めた。



