仕事が休みの水曜日。高く昇った太陽が部屋を照らす12時過ぎの今、朝食として2枚入りのせんべいを小袋1包みと、バナナを1本食べた。

せんべいの小袋とバナナの皮をごみ箱に放り、3分の2ほど残っている野菜ジュースに手を伸ばすと、ベッドに置いてあった携帯がメールの受信を知らせた。

野菜ジュースのパックを片手に確認すると、一番上の受信メールに藤井 咲菜という懐かしいとすら感じる名前があった。

こんちくわ、という文字のあとにちくわの絵文字があり、1行空いて『今日ヒマ? ウチ、ヒマすぎて悲しいの。たまには喫茶店でも行かない?』という文が書かれていた。

咲菜らしい文章に苦笑しつつ、『久しぶり、元気? 私も今日、仕事休みなんだ。この辺の喫茶店となると……Cherry Blossom?』という文を返した。

1分も経たないうちに『元気じゃないよ。ヒマすぎて悲しいんだってば。チェリーブロッサム、いいね。あそこ、名前は知ってるけど行ったことないの。何時に会う?』と返ってきた。

『何時でもいいよ、着替える時間さえいただければ』と返すと、『じゃあ、ウチは10分後に家出る。待ってるね』と返ってきた。“待ってるね”から多めの改行のあと、『場所は知ってるから』という文字と半角の感嘆符が4つあった。

私は『なるべく早く行けるようにする』と最後の返信をすると、空になった野菜ジュースのパックをごみ箱に放り、急いでクローゼットを開けた。