新たな1週間、月曜日を迎えた。

覚えの悪い頭に半日分の勉強内容を叩き込み、空腹を満たしたあとの昼休み。時間を潰すため、私は1人で静かな廊下を歩いていた。今日は“大沢コンビ”のファンたちはいない。

一緒に弁当を食べた綾美は、昼寝の時間だからと言って教室にいる。


土曜日は、あれからもずっと2人のことを話していた。先週、初めて2人を見た日に聞いた情報――名前や身長はちゃんと覚えられたのに、土曜日に聞いた2人の情報は全く覚えていない。

寝てたのではないかと自分で思うくらい、全く覚えていない。微かに覚えているのは、2人が中学の頃はとんでもない問題児だった、ということをひたすら聞かされていたということくらいだ。

そしてたった今、他にも、知って得をした感じも、今まで知らなくて損をしていたという感じもしない、なんとも言えない情報を数多く聞かされたような気がしている。


耐え難い空腹が満たされたあとに襲ってくるのは、耐え難い眠気。とりあえず伸びをしようと、両腕をあげた。すると、結構先から見覚えのあるシルエットがこちらへ近づいてきていることに気づいた。

同じ人間なのかと疑ってしまうほど小さい頭に、モデル並みに長い脚。そしてそれを隠すかのようにサイズの合っていない制服――。やっべ、と声が出た。やつは間違いなく土曜日のベルベットだ。

シルエットの正体がわかると、私は慌てて辺りを見回した。逃げ場を探すためだ。

ほとんど覚えてはいないけど、とんでもない問題児だったということを1日中聞かされたら、いくら私でもすれ違うのを避けたくもなる。