「俺……そういえば奏がいたから愛のこと好きになったんだよな」
奏が落ち着いた頃、俺はぼんやりとどこかを眺めて呟いた。「えっ?」と驚いた奏の声が返ってくる。
「俺、真面目に人間関係築いたの奏が初めてでさ。それまでは人間関係ってすげえめんどくさいもんだと思ってて。でも実際はそうでもなくて。まあ、奏だったからなのかもしんねえけど。で、人と関わんのって意外とめんどくさくないのかなって思った頃に、愛と逢ったの。したら愛のやつ、ところどころお前に似てるとこがあってさ。この人となら関わってもめんどくさくないのかなって思ってたら、好きになってた」
自分のことばかりを話してしまうと、奏は「僕もそんな感じ」と言った。
「僕、高校……1年の頃かな。愛ちゃんと廊下でぶつかってさ。まあかっこ悪く尻もちついて、愛ちゃんが“大丈夫?”って言ってくれてさ。それが瞬くんに似てた気がしたんだよね。で僕も、この人とは真面目に関わっても楽そうだなって。そう思うと同時に好きになっちゃってさ」
ありがちなシチュエーションとわかりやすい一目惚れに驚いたよ、と楽しそうに笑う奏を見て、俺は複雑な気持ちになった。奏が愛を好きなのはわかっていたが、俺が愛と付き合うより前だとは思っていなかった。
奏のことだから、俺が愛と友達として過ごしている頃から、愛とは接触しないようにしていたのだろうか。
「でさ、中1の頃だよね、僕が瞬くんと仲よくなったの」
「ああ、うん。懐かしいな」



