簡単に作れるものを長時間掛けて作り、それが出来上がった頃にはかなり疲れていた。つい自嘲の笑いがこぼれる。
「大丈夫?」
「ああ。ちょっとさ、このネックレス外してくんね?」
俺が言うと、奏は目を丸くした。
「えっ、なんでまた。ずっとつけてたのに」
「これは……明日にでも愛に渡す」
「そう……」
右隣に来た奏の手が俺の首元に伸びると、小さな音と共に、羽の形をしたペンダントトップが通ったネックレスが外れた。
奏からそれを受け取り、自分でペンダントトップを外した。そして右手中指の指輪をも外すと、それをネックレスに通した。少々苦戦してカニカンとイタカンを繋ぐ。
深く息を吐き、愛への最初で最後のプレゼントを奏に差し出した。
「これ、あとで愛に渡してくれ」
奏はゆっくりとプレゼントを手に取ると、悲し気な目で俺を見た。彼の悲しそうな目を見ていると、俺自身も少しの寂しさのようなものを感じてきた。それを隠して笑う。
「それを愛に渡したら、お前が愛のそばにいてくれ。俺はもう……いないから」
少し多かった最後の願いの一番最後の願いを言葉にすると、小さく首を振る奏の頬が濡れた。彼の顔がどんどん頼りないものになっていく。
「そう泣くなよ」と苦笑すると、彼は今度は時折小さな声を漏らしながら泣いた。
「そんなに泣かれるとこの先すげえ長かったとき変な感じになるじゃねえか」
少しでも笑ってほしくて冗談を投げかけると、「それでいい」と震えた小さな声が返ってきた。
しばらくして落ち着きを取り戻すと、奏はしゃくり上げながら言った。
「僕、愛ちゃんのそばにいる。2人の友達だから」