まだ近くにいるだろうかと思いながら少し歩いたが、愛ちゃんの姿は見つからなかった。彼女がどこへ向かったかもわからない。僕は自分の家を目指した。


何台かの車が横を通る中、僕は家を訪ねる前に瞬くんに連絡を入れなかったことを後悔した。彼は車椅子に乗っていた。僕たち、特に愛ちゃんが帰されたのはきっとそのせいだろう。自力で歩くことができなくなってショックを受けていることは、彼の性格から安易に想像できる。

だからといって恋人にしてやれることがないというのは違うだろうという先ほど浮かんだ考えも、彼の性格が打ち消した。僕と瞬くんは、まるで鏡のように性格が違う。普段は同じようなのだが、深く考えると見事に反対。しかし、だからこそ彼の考えることはすぐにわかる。僕の考えを反対にすればいいだけだからだ。


僕がもし瞬くんのような状況に置かれた場合、間違いなく少しでも多くの時間を恋人と一緒に過ごす。自分も相手も、お揃いの指輪を身につけているくらいなら。

恋人がいないお前になにがわかるのだと言われてしまえばなにも言い返せないが、好きな人を想う気持ちは痛いほどわかる。