残暑の厳しい9月上旬。久しぶりに愛ちゃんと休みが合った。ぶどうの入った袋を片手に、愛ちゃんとの待ち合わせ場所である出身校の近くのコンビニへ向かう。
最近の我が家は、ありがたいことに忙しかった。年に数回訪れる忙しい時期の1つ、お盆があったからだ。
我が家が多くのお客様で賑わっていた間、愛ちゃんの職場である本屋、さくら書店も忙しかったらしい。そのため、僕も愛ちゃんも瞬くんに会うのは数か月ぶりだ。
待ち合わせ場所のコンビニでは、すでに愛ちゃんが待っていた。待ったかと問うと、彼女は今きたところだと首を振った。
「あっ。そういえば奏、5月の中頃、来た? さくら書店」
コンビニの敷地を出て間もなく、愛ちゃんに訊かれた。
「行ったよ。なにかこれからのためになる本あるかなと思って。他の店もまわってるんだけど、全然見かけないんだよね」
「あ、そうなんだ。私も帰る前に覗いたんだけどなかった。他のお店もそうなんだね」
「うん……。少なくとも僕がまわった店は。だから、情報の収入源は主にネット」
僕が苦笑すると、私もそうだと言って愛ちゃんは笑った。