翌日、チャイムは家族3人での食事中に鳴った。両親が頭の上に疑問符を浮かべる。

「ごめん、私。荷物頼んだの」

私は箸と茶碗をテーブルに置き、2人に「食べてて」と残してジャージのポケットに印鑑とお金が入っていることを確認しながら席を立った。

玄関を開けると、見慣れた制服を着た宅配の人がいた。荷物を受け取って鍵を閉めると、私は荷物と共にさっさと自分の部屋へ向かった。


荷物をテーブルのそばに置いてリビングへ戻ると、なにを買ったのかお父さんに訊かれた。席に着きながら素直に本だと答え、白米を口に入れてから思った。

「てか、なんでもいいじゃん。怖いんだけど」

私が眉間に皺を寄せると、お母さんは「まあまあ」と笑った。

「そう言わないであげて。愛娘のことは気になるんだよ」

ねえ、とお母さんが笑い掛けると、お父さんは「別に」とどことなく自分に似たねっとりした口調で言い、味噌汁をすすった。

私は「シンプルに怖いだけなんですけど」と言って白米を頬張り、それを流し込むように味噌汁をすすった。