主役が帰ってしまえば、パーティ会場は派手に飾られた自分の家のリビングになった。
「結構楽しかったね」
私はリビングに戻ると、ダイニングテーブルに置いておいたクラッカーを1本鳴らした。奏が帰るときにお見送りとして鳴らすはずだった1本だ。そのために5本入りを買ったのだけど、すっかり忘れてしまった。現実の世界で鳴らすと、不思議と散らからないタイプを買ってよかったと心から思える。
「かなり驚いてたからな」
「最初はどうしようかと思ったけど。時差ボケってるんだね」
時差ボケってる、と繰り返しながら、瞬は小さく笑った。
「あ、瞬大丈夫? そろそろ暗くなっちゃうけど」
「ああ、全然。片付け手伝ったら帰るよ」
「本当に? 片付け手伝ってくれるの?」
「おお」
「やった、嬉しい。1人で片付けとか、悲しすぎると思ってたから」
「よし」
おっぱじめるぞ、と瞬は私が聞いたことのない言葉を真面目な顔で言った。たぶん始めるという意味なんだろうなと解釈して頷くと、白い壁を盛り上げている星たちの回収が始まった。
「瞬、この星要る? 結構綺麗に作れたと思うんだけど」
「あ、じゃあ記念に」
「ああ、本当?」
なんならこれ全部でもいいよと言うと、頑張って各種2個までかなと真面目なトーンで返ってきた。



