くだらないことを話しながらお菓子を減らし、最後まで残ったポテトチップスやグミに手を伸ばしていると、奏が尋ねるように瞬の名前を呼んだ。私は奏の左隣にいる瞬を見た。彼は右手にサイダーのペットボトルを持っている。
「ん?」
大丈夫かと奏に問われ、瞬はああと答えながらペットボトルをテーブルに戻した。
それから2時間ほどが経った5時過ぎ、大きめの皿の中央に盛ったポテトチップスとその周りに飾ったグミがなくなる前に、奏は帰ると言い出した。
「もう?」
「うん」
あまり遅いと姉がうるさいからさ、と笑いながら、奏はレザー調の黒いバッグを斜めに下げて立ち上がった。
「ごめんね」
「ううん」
気をつけてねと言った私に笑顔で頷き、じゃあなと言った瞬に手を振り、奏は玄関へ向かった。私と瞬もあとに続く。



