100円ショップグッズで飾りを作り始め、窓から見える空が濃い紫色に染まってきた頃には、このリビングを彩るには十分な数の飾りができた。大きめのホワイトボードは、瞬にカラーペンで“Happy 18th Birthday”の文字といくつかの星を書いてもらい、縁を縦横それぞれ一辺ずつ、紅白のパーティモールで飾った。折り紙では、携帯で調べながら大小様々なラッキースターと立体の星を作った。


「よし。もういいでしょ」

「すげえ量作ったな。俺、愛が折り紙得意だなんて知らなかった」

「意外だと思った?」

私が問うと、瞬は「ちょっとな」と笑った。もうと頬を膨らませながら、私はどいつもこいつも、と思った。私は過去、折り紙が得意だと言って咲菜に爆笑された経験があるのだ。


「で、どう飾る?」

「じゃあ……その星たちもこのホワイトボードも、あの壁でいいんじゃん?」

瞬が指で示したのは出窓の向かい側の壁だった。瞬はその壁を飾ろうと考えたらしい。

「おっ、いいね。じゃあソファは……出窓側に持ってっちゃう?」

「飾り見せつける作戦」

「なんだかものすごく嫌な人みたいだけど……そう」

素直だなと笑う瞬と共に、まずはソファを移動させることにした。ソファは普段、テーブルを挟んでテレビの前にある。今もそうだ。

私が後ろに下がる形でソファの両わきに立った。せーのと息を合わせて持ち上げ、後方を確認しながら左足を一歩下げた直後、ソファが重くなった気がした。それが事実であると証明するように、私が瞬の方を見る前にドンと低く大きな音が響いた。私が前を向いてから数秒間の沈黙のあと、瞬は「ごめん」と呟いた。

「全然」

もう一度できるかと尋ねると、瞬は数回小さく頷いた。

「行くよ? せー、のっ」

2度目でソファを出窓側へ移動させると、私たちはいろいろと話し合いながら反対側の壁を盛り上げた。