長い2学期が終わり、ようやく訪れた冬休みも終わりに近づいている新年一発目の今日。私は瞬と2人で近くの神社にいた。とても曇っているというほどではないものの、空は灰色に染まっている。
「奏、遅いね」
私は明るいオレンジ色のダウンのポケットに両手を入れ、小さく飛び跳ねながら言った。
「今頃たくさんのお客さんからお年玉でももらってるんだろうな」
隣に立つ、私と違ってシンプルで小洒落た上着を着た瞬が呟くように言った。
「えっ、こんな日も仕事なの?」
「年中無休だからな」
「こんな時期でもお客さん来るの?」
「来るだろ。用はなくても奏目当てで」
「大人気じゃん」
「もう、あいつくらいになると指名入っちゃうから」
「大人気どころじゃないね」
「一番稼いでんじゃねえか?」
「もう働かなくてもいいんじゃないの?」
「いやそこまでではねえと思うけど」
「そうかなあ……」
その後もぽつぽつと会話を続けていると、焼き芋ホックホク祭りのときと同じダウンコートを着た奏が現れた。数回辺りを見回し、私たちを見つけると小走りでこちらへ寄ってきた。