花火は1時間ほどで終わった。後半の、辺りを金色に染めた大きな枝垂れ柳は最高だった。
花火を見ながら奏のことを話したりもしたけど、花火の美しさで話のほとんどを忘れてしまった。
「花火、すごかったね」
「なんか、すっげえいい夏を過ごした気分」
「私も。きっと一緒に見たのが瞬だったからだね」
私が素直な言葉を並べると、瞬はかわいらしく笑った。
「じゃあ、帰るか。奏んとこは……」
奏のところへは行かないくていいのかという問いに、食い気味に「結構です」と返した。
「あの、わかる? 2人を危険な人だと思いたくないの」
言った直後、綾美の言葉が蘇った。大野くんは女子の扱いが上手い――いつか、綾美がそんなことを言っていたような気がした。
彼女は自分の言動のほとんどが私を瞬や奏に近づけないようにするための嘘だったと言っていたけど、奏が女性の扱いが上手いというのは本当だったのか。
日頃からそういう世界にいる奏は、そういうものがいろいろと身についているのかもしれない。いやまさか――。
奏が普通の高校生だと信じたくて頭を左右に振った。
「……大丈夫?」
瞬が心配そうに、そして引き気味に顔を覗き込んできた。
「あ、うん。大丈夫。帰ろう」
大丈夫だ、瞬も奏も普通の高校生だと言い聞かせ、瞬と手を繋いだ。



