想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


「ねえ、奏 誰から連絡来たの?」

奏の姿が見えなくなった頃、パインの袋を外している瞬に尋ねた。ああ、と小さな声が返ってくる。

「仕事先の先輩」

「奏って仕事してるの?」

「ちょっと前からな。好きではないけど、楽だからやってるんだとか」

瞬はそう言うと、パインをかじってうまいと呟いた。

「まあ、確かに楽な仕事だよな。ただ笑って金受け取っときゃいいんだから」

「あの、ちょっと待って」

気になる奏の仕事の予想がついてしまったところでストップを求めた。

「あの、その言ってる奏の仕事って、ちょっとやばくない?」

「いや? 別にそんなことないだろ」

「えっ、だって夜のお仕事でしょ?」

「夜っていうか……今はこれくらいの時間」

今は とはどういう意味だと考えていると、瞬はパインをかじり、なにかを思いついたようにあっと声を出した。

「じゃあ行ってみる? 奏んとこ」

「いやいや、いいよ。てか入れないでしょ」

「ああ……」

瞬は一度、なにかを考えるように黙った。

「でもまあ、大丈夫じゃね? 俺、向こうの人とはもう友達みたいなもんだから。今行けば裏側も見られるぜ」

「なんか言葉の1つ1つにぶっ飛んだオーラがまとわれてるんだけど」

「そうか?」

小さく首を傾げて再びパインをかじり始めた瞬に苦笑する。

「まず、なんであんな世界の人と友達みたいなもんになってしまっちゃってるの」

私の少し変な日本語に、今度は瞬が苦笑した。

「普通に、奏の友達ってことで。奏も俺のこと話してたみたいで、初めて会ったときは感謝されたよ」

「瞬、友達にどんな仕事すすめてるのよ」

「いや、仕事は俺と逢う前からやってたから」

「ちょい待って。瞬たちは中1で逢ったんだよね? その前からやってたの?」

「おう。あまり出てはいなかったみたいだけどな」

「当たり前でしょ。いやもう、当たり前のレベルがおかしいけれども。もうね、瞬も奏も、人間関係がおかしいよ」

「そうか? 至って普通だと思うけどな」

「10人中10人が普通じゃないって答えるよ」

「10人中10人が普通だと答えそうだけどな」

瞬たちの人間関係について盛り上がっていると、夜空に光の花が咲いた。