奏が私らしいと言ってくれた景品は、茶色い小熊が小さな木箱を抱いているかわいらしいぬいぐるみだった。瞬はそれを難なくとってくれた。
「瞬すごいね、本当に上手いんだね」
奏が行きたいと言った、人の少ない土手に近づいてきた頃、私はぬいぐるみを受け取った直後と同じようなことを言った。
「本当にすごいよね。あんなだもん、僕ん家には使ってあげようのないおもちゃたちも増えるよね」
奏も先ほどと同じようなことを言って苦笑した。
「おかげでここ5年間のおもちゃの流行は完璧だよ」
「瞬も、毎回おもちゃなんだね。とってくれるの」
「そうなんだよ。毎回要らないって言ってるのにだよ?」
ここまでくるともう嫌がらせだよ、と奏は笑った。
目的地の土手に着くと、私は瞬がいないことに気づいた。
「あれっ、瞬は?」
辺りを見回すも、瞬の姿は見当たらない。
「大丈夫だよ。この辺なら詳しいし、ここに向かってることも知ってるから」
「そう? ならいいんだけど……」
心配の残るまま呟くと、奏は そろそろかな、と呟いた。



