コンビニから会場までは歩いて20分ほど掛かった。辺りが薄暗くなり、たくさんの人で賑わう会場は、屋台の明かりが目立つようになっていた。
「結構人いるね。知ってる人いるかな?」
賑わう会場に足を踏み入れ、私はすぐに言った。
「どうだろう。でもこれじゃ、いても気づかなくね?」
「そうなのかな。誰かいたら盛り上がりそうなのに」
屋台が並ぶ方に入り、しばらく歩いていると水色の背景にピンク色の文字で『かき氷』と見えた。
「かき氷食べない? お祭りと言えばって感じで」
隣を歩く瞬を見上げると、「いいよ」と頷いてくれた。
屋台の前に2人のお客さんが並んでいた。瞬と2人、3番目に並ぶ。少しして、瞬が「そういえばさ」と言った。
「俺らって、どっか行ったときほぼ毎回かき氷食ってねえ?」
あまり考えていなかったけど確かにそうかもしれないと思い、私は小さく噴き出した。
「本当だ。これで3回目くらい?」
「たぶんそれくらい」
すごい食べてるねと笑っているうちに順番が来た。
「私は、じゃあレインボー1つ」
感じのいい若い女性が頷き、瞬を見る。
「ブルーハワイで」
「はーい。どっちも300円ですねえ」
女性が氷を削っているうちに300円を手に握った。間もなく差し出されたカラフルなかき氷と引き換えにそれを渡す。
ありがとうございましたとお辞儀をしてくれた女性に会釈し、瞬と2人で人の少ない場所を目指した。



