結局、普通に歩いたのとあまり変わらないように思える時間を掛けて待ち合わせ場所に辿り着いた。約束の時間より10分ほど遅れている。

瞬は建物の裏にいた。黄緑色の笹が描かれた白い浴衣を着ている。帯は少し濃い緑色だ。


「ごめん、待った?」

「いや、全然」

「本当? なんか、いちいち わちゃついちゃってさ」

私が苦笑すると、瞬は想像できるといった様子で笑いながら頷いた。

「浴衣も似合うね」

「やめて。嬉しすぎてお祭りどころの騒ぎじゃなくなっちゃう」

本当にお祭りどころじゃなくなりそうだったので、早く行こうと言って会場の方へ歩き出した。