7月下旬、私は夏の夕焼けの下を最高に走りにくい服装で走っていた。


今日は年に一度の市民まつりの日だ。それに瞬と2人で行くことになった。

私は張り切って、いつものポニーテールの位置に6本ほどの三つ編みをしてからのお団子という、人生で最も凝った髪型をした。

服は瞬と事前に決めていた浴衣。オレンジ色の生地にカラフルな水ヨーヨーが描かれたものだ。帯は黄色。

手には、白地に黄緑色の小さな水玉が描かれた風呂敷と木製の輪で作ったバッグ。中には、携帯と財布、瞬と行ったショッピングモールで買った扇子が入っている。

足元は下駄。バランスは取れないわ一歩は小さくなるわで最悪だ。


こんな状態で走ろうとしていることが間違いだということは自分でもよくわかっている。だけどそうしなくてはならないのは、この凝った髪型のせいだ。髪を縛るだけで1時間以上もの時間を要した。おまけに浴衣を着るにも結構な時間を使ったものだから、家を出るのは予定よりもかなり遅れた。

それらのことから、明らかに走るための服ではない浴衣を着て、瞬との待ち合わせ場所である、家から徒歩10分ほどのコンビニまで走るはめになった。