乳白色のレジ袋があったのでそれを持って部屋に戻ると、瞬が着ている服は自分のものに変わっていた。


「オッケー」

着替えるの速いね、と言いながら、瞬が丁寧にたたんでくれた私の服を持ってきた袋に入れた。わざわざ洗ってくれなくてもいいのにと思いながらそれを瞬に渡した。


「なんかありがとね、いろいろと」

特に言葉を交わすことなく玄関を出て、家の前の道で言った。

「全然。そういや、家族はまだ帰ってこないの?」

「あ、うん。早くても今日の夕方くらいとか言ってた気がする」

なんか知らないけどちょくちょくあるの、と付け加えるように笑った。

「寂しかったら連絡するから、無視しないでね」

「了解」と真面目に頷く瞬に「冗談だよ」と笑った。

「じゃあまた……」

明日か、と続いた瞬の声に、うわっと声が出た。

「明日から学校じゃん」

「楽しい時間は速いよな」

「本当。瞬も楽しかった?」

「名前の由来と夕食が」

「そっか。そう言ってもらえると嬉しい」

話が落ち着いたところで、解散を促すかのようにふわりと風が吹いた。

「じゃあ、また明日。会えたら学校で」

「おう」

鍵だけちゃんと締めとけよ、と言って瞬は手を振り、バイクにまたがって帰っていった。

1年の夏休みに一度行ったきりだけど、かなり綺麗な家だったのを覚えている。