瞬の隣でしゃがみ、水に触れてみるとまだ少し冷たかった。
小さな波が押し寄せてくる。
「なんか、奏がいないと落ち着いてるね」
水に触ったまま、私は笑った。
「やめてやれ」
わかるけど、といった雰囲気をまとう声と共に瞬の顔がおりてきた。瞬も私と同じように水に触れる。同時に、小さく笑った。
「さっき、投げなくてよかったな」
「ん、なにを?」
「愛を」
「えっ、なに瞬、鬼なの?」
ハハハッ、と楽しそうな声と共に水が飛んできた。
「ちょっとお。これ本当の革だったらどうしてくれるの」
「新しいの買ってあげる」
「絶対無理だね。パンケーキのあとに傘買えなかったくらいだもん」
「やめてあげて。芹沢がかわいそう」
誰目線?と突っ込み、私は瞬の笑顔に水をかけた。
「うわ、しょっぱ……」
「なんとこのお水、海のミネラルをそのまま摂れちゃうんですっ」
言いながらさらに水をかけた。
「海のお水そのままだからな」
なんて返してやろうかと考えていると、海のミネラルをそのまま摂れてしまう水が飛んできた。海の味が広がる。
「ほんとだ、しょっぱい」
「だろ?」
瞬は楽しそうに笑った。
「海のミネラル攻撃っ」
言いながら瞬の笑顔に思い切り水をかけた。この水のしょっぱさを知った私たちの水かけ試合は、どんどんエスカレートしていった。



