少し慣れたような気がするバイクの後ろに乗って10分ほど。バイクが止まったのは、去年の夏休みにきた海だった。まだ夏とは程遠い気候だからか、人は全くいない。
歩きながら、一度解いた髪の毛を結んだ。胸の辺りのポケットからリボンを取り出す。
「帰り。またあれだぞ?」
隣で瞬に笑われ、はっとして足が止まった。
「まあ、いいけどさ」
「違うし。わかってたもん。リボン落とすとまずいから縛ろうとしただけだもん」
はいはい、と瞬は苦笑した。
「でも……」
リボンを結び終えると、さっきまでばかにしたように笑っていた瞬が真面目な顔で見てきた。
「なに? えっ、なにかついてる?」
「やっぱり俺 縛ってる方が好きだな」
一度頷いて話を完結させると、瞬はさっさと歩き出した。私はにやけを抑えられないまま瞬の背中に向かって走り出した。近づいた背中に思い切り飛びつく。瞬は少しバランスを崩すも、すぐに立て直した。
「腰ぶっ壊れる」
「あれっ、腰痛持ち?」
「俺くらいの歳になるといろいろとガタがくんのよ」
「何歳設定?」
「あー……」
真面目に考え始めた瞬の背中で、私は大事なことを思い出した。無意識に大声を上げる。
「なに」
「いや、忘れてたよ。瞬ってボタン電池と電気で動くんだもんね。年齢なんてないよね」
「ああ、そうそう。俺 最新のロボットだから」
よくできてるだろ?と笑うと、瞬は私を背負ったまま足を止めた。ありが10匹、といつか流行ったような気がするお礼を言って瞬の背中から降りた。



