土日明け、12月。私にも冬がやって来た。

乾燥した風を受けて自転車を漕ぎ、灰色の空の下、学校に着いた。上履きに履き替えてのろのろと廊下を歩く。

教室内はいつもと変わらず、ところどころに生徒が固まっていた。

「おはよ」

「おはよう」

窓際のロッカー前にいた“大沢コンビ”と挨拶を交わし、自分の席に着くと鞄からペンケースを取り出した。チャックを開け、内側の小さなポケットに隠れている宝物を眺める。いくら校則が緩いとはいえ、着けてくることはできなかった。

しばらく眺めていると、慣れない輝きが私の口角を怪しく上げた。

傍から見たら完全に危ない人だろうな、と思いペンケースのチャックを閉め、鞄の中の教科書やノートを机の中に突っ込んだ。