私は吸い込まれるようにそのお店に入った。

ネックレスやブレスレット、ピアスやイヤリングなどで、店内は輝いていた。


「笠原こういう店興味あるんだ」

隣で芹沢くんが意外そうに呟いた。

「好きだよ? 最近はね、指輪に興味があるの」

「へえ」

今度は心の底から意外そうに言った。そんなに女の子に見えないかな、と少し不安になったが、大丈夫大丈夫、そんなことはないと言い聞かせて商品が並ぶテーブルのようなものに視線を落とした。綺麗な指輪がたくさん並んでいる。

リボンやハート、花などをイメージしたかわいいものから、シルバーのリングに石がついたシンプルなものまで本当にたくさん。

しばらく全体を眺め、シルバーのリングを手に取った。ついている石は透明のもの。隣で芹沢くんもなにかを手に取った。

「これ かわいくない?」

芹沢くんを見上げると、芹沢くんは笑顔と共に、私が手に取ったものと石の色だけが違うリングを見せてくれた。芹沢くんが手に取ったリングの石の色は黒だ。

「似てるっ。てか同じだ」

な、と芹沢くんは笑った。その笑顔は店内に負けないくらいに輝いている。

手元のリングに視線を戻すと、いいことを思いついた。

「じゃあ買っちゃう? お揃いで」

再び芹沢くんを見上げた。

「お揃いで?」

「うん。友達の印、みたいな感じで」

「いいけど……」

「“けど”? ずっと友達でいられる保証はないとか悲しいこと言わないでよ?」

私は笑顔を付け加え、芹沢くんの手からリングを奪って2つのリングと共にレジへ向かった。

史上最高に嬉しい誕生日プレゼントだ。