湊がトランプをきっている間にいろいろとハプニングを起こしたものの、なんとかゲームを始めることができた。慎は湊を、こいつ頭は回るけど体がついてこないんすよ、と言った。確かにそんな感じだよね、と思ってしまった。


「てか待って、湊くん多すぎじゃない?」

1周回った頃、咲菜が笑いながら言った。そうなんすよお、と湊が口を尖らせる。

「配られたの見てびっくりっすよ。見事にダブりないんすもん」

「ていうか、奏のホスト風モード面白いんだけど」

「湊です。大野 湊です」

「名字そのままだし」

「いいから愛。慎くんの引いて」

咲菜に叱られ、前にいる慎と名乗る芹沢くんからカードを1枚引いた。

私がカードを引く間に、湊は「おれ、奏の父親の兄の子なんす」と説明した。


私から咲菜が引き、咲菜から湊モードの奏が引く。

「こんなに持ってるのに揃わないっていう」

「でもほら、ミラクルが起こるかもしれないし。諦めないで、かなた」

あえてゆっくりと名前を言うと、「みなとです」と同じような言い方で瞬時に訂正された。

その間に慎が湊からカードを引き、揃ったものと一緒に机の真ん中に置いた。