「よく思いついたね」と私が言うと、「そのままだよ」と2人は言った。

「湊はたださんずい付けただけだし」

「慎は平仮名から『ゅ』を取っただけだし」

ね、と2人は私たちに笑った。

「他の奴らは本名まるで関係ないっすよ」

慎はくだらないと言うように肩をすくめた。


やがて私と咲菜が頼んだいちご・オレとバナナ・オレが運ばれてきた。湊が特別に、と追加してくれたフルーツの盛り合わせも。

今回ここにある果物は全て大野 奏が用意したもので、彼の従兄弟である湊は奏が怒らない範囲ならどれも安くしたりできるらしい。

そんな湊のおかげで、私と咲菜は全部無料となった。ありがたいと感じるよりも強く、短時間でよくここまでの設定を決めたなと思ってしまう。


マジックが見たいと言うと、慎と湊が3回以上失敗したらやらないと決めてるので、と言うので、私たちはトランプでババ抜きをやることにした。

トランプをきる湊の綺麗な手を眺めて気がついた。彼らはすでに3回は失敗しているらしい。