その後、史上最長の時間を掛けてようやく着いた海。

やっと思い切り体を動かせる、とすぐに水着へ着替えた。

私のは、オフショルダーのような形の薄いピンク色の生地を隠すようにレース生地の濃いピンク色の大きなリボンが付いている上に、薄いピンク色のひらひらとしたミニスカートといったもの。

スカートの左下には、よく見ないと気づかないくらいに小さな黒いリボンが付いている。


男子2人はシンプルな海パン。シンプルなのにどこか洒落ているのがこいつららしい。


夏の青い空に、黄色いスマイルが描かれた透明のボールが打ち上げられた。少しずつこちらへ近づいてくる。


「あー……はいっ」

手元まで落ちてきたボールを、前方にいる奏へ届くよう高く上げた。

少ししてなんとか返ってきたボールは、芹沢くんが軌道を修正して返した。芹沢くんの動きに合わせて、羽の形をしたペンダントトップが通ったネックレスが揺れる。

「んだっ」

奏の必死な声と共に返ってきた弱々しいボールを、芹沢くんが容赦なく返す。強烈な球に触れることなく、奏は砂浜に倒れた。

「しゃっ」

小さくガッツポーズをする芹沢くんと盛大にハイタッチをした。