それから間もなく奏くんがやって来て、3人で図書館へきた。それは本当に近くで、家から待ち合わせ場所までよりも近い気がした。
図書館の中は、人は多いものの冷房がきいていて快適だった。最近は店の中もそう涼しくないので、本気で幸せを感じた。
比較的 人の少ない席に着き、リュックサックを下ろすと背中から一気に熱が去っていくような気がした。
今すぐにでも寝たいと願う私の体の隣で、奏くんは縦長の小洒落たトートバッグから宿題を出した。
「待って。もうやる?」
筆記用具を並べていく奏くんの手元を見つめて言った。
「えっ、やらない?」
奏くんは手を止め、少し驚いたように私を見た。
「……あっ、いや、やろう。なんでもない」
はははと下手くそに笑い、私もリュックサックから宿題を出した。
少し休んでから、なんていう考えは、人間離れした彼らにはないようだ。



