かき氷を食べたあとは、専門店の方を少し歩いて見つけた中南米風な雑貨屋さんに入った。洋服やバッグ、レジのそばには少しのアクセサリーが並んでいる。
お客さんがほとんどいない状態で私たちが入っても、店員さんは特に話し掛けてくることはなかった。
かわいいと思う服はいくつもあったけど、決して多くは残っていないお小遣いでは払いきれず、私たちは一番奥のアクセサリーが並ぶ辺りまできてしまった。
「あっ」
そばにいた芹沢くんが なにかを見つけたように小さな声を出した。
「なんかあった?」
「ああ、笠原っぽいなと思って」
そう言って芹沢くんが手を伸ばしたのは、黄色や薄い緑色などが混ざった、綺麗なガラスのネックレスだった。少しぷっくりした、円形のもの。シンプルだけど、着けていたら結構目立ちそうだなと思った。
「私ってこんなイメージ?」
「こっちの花入ってるのも ぽいけど」
今度は同じような形のガラスの中に花が入ったネックレスを勧めてきた。
「いやこれ、綺麗だとは思うけど……」
いくらすんのよ、と思いながら値段を確認すると、300円ばかりお小遣いをオーバーしていた。
「ちょっちょっちょ……」
少し下を向いて、なにかを押すように手を動かして芹沢くんと共に店を出た。
「ごめん、入るお店間違えた」
「えっ?」
「いや、あのお店、私には高級すぎる」
うん、と自分の言葉に頷いて勝手に話を完結させ、下りのエスカレーターを探して歩き出した。
どこ行くの?と追ってきた声に、とりあえず下へ行こう、と返す。



