フードコートは、ところどころに人がいるくらいで席は選び放題だった。私たちは目的のかき氷があるお店の近くに座った。

かき氷はもう買ってきた。雪山のようなそれが机の中央に置いてある。

私がお気に入りのある店は、ふわふわのかき氷に果肉とソースをたっぷり盛ってくれる。大きい方と小さい方があって、大きい方で500円。もちろん大きい方にした。その方が芹沢くんと長くいられるからだ。


「どう? すっごく美味しくない?」

私は雪のような氷をすくって、前で一緒に食べている芹沢くんに言った。

「うん」

普通に、と言う割に結構食べてるから、嫌いではないんだと思う。この、“いちごと練乳のスノーアイス”。

「んふっ」

氷の冷たさといちごの甘さを堪能しながら、あまりに幸せな時間につい笑った。

芹沢くんが手を止め、上目遣いに見てくる。

「なんか、このかき氷何回か食べてるんだけどさ、今までで一番美味しい気がする」

素直な気持ちを言うと、そうか、と芹沢くんは頷いた。そして、優しくかわいらしい笑顔で言った。

「俺も」

私はなるべく自然に笑い返し、自分と同じ理由であればかなり嬉しい芹沢くんの言葉で1度は上がったであろう体温を、そばにあった水で戻した。