短冊を、笹の目立ちすぎず目立たなすぎずの絶妙なところに飾り、芹沢くんと別れた辺りへ戻った。彼は少し離れた場所から笹を眺めていた。
特別なことをしているわけでもないのにかっこいいな、と思いながら芹沢くんに駆け寄った。
「ごめんね」
「全然」
優しい声にやられそうになりながら、「上行こっか」と言って2人で近くのエスカレーターに乗った。
「芹沢くん、願い事書いた?」
振り返り、自分で内緒だと言った話題に手を出した。
「まあ、うん」
「なんだろう、お小遣いが増えますようにって?」
私の言葉に芹沢くんが困った笑みを浮かべたとき、2階へ到着した。



