少し迷って黄色の紙を選ぶと、そばにあったボールペンを握った。
芹沢くんに見られたくないな、という思いから少し速まった鼓動を落ち着かせると、隣に同じくらいの歳の男子が来た。
ゆったりと着る体操着から伸びる日に焼けた手足から、彼は運動部なのだろうと予想した。
彼は少し意外な薄いピンク色の紙を取ると、中心に豪快に文字を綴った。
その文字が見えてしまったあと、彼と目が合いかけて自分の紙へ視線を落とした。
“若葉ちゃんに告白できますように。”
彼の願い事はそれだった。
少しして隣から彼の気配が消えてから、私も願い事を書いた。
“芹沢くんとずっと一緒にいられますように。 愛”
自分で書いた短冊を眺め、名前の右下に私らしくもない小さなハートマークを付け加えた。