残りの2時間の授業を乗り切り、私は芹沢くんと近くのショッピングモールへきた。駐車場も駐輪スペースも、思ったより混んでいた。

夕飯の材料を買いにきた主婦の方が多いのだろうと思ったけど、中へ入ってみると制服や学校のジャージを着た集団もいた。

目の前を通った、制服の人とジャージの人が混ざった集団のあとに目に入ったのは、大きなクリスマスツリーのような笹だった。

それはすでにたくさんの短冊が飾られていて、華やかになっていた。

「そうだっ、今日七夕なんだっ」

私は近くにお母さんらしき人といる小さな女の子よりも騒いだ。

「ねえっ、せっかくだから書いていかない?」

とびきりのハイテンションで言うと、「俺はいいよ」と芹沢くんは苦笑した。

「いいじゃん、たまには。芹沢くんだって願い事がないわけじゃないでしょ?」

いくら何事にもクールな芹沢くんだって、お小遣いくらいほしいだろうし。

「ねっ? ほらほら」

私は芹沢くんの腕を引き、大きな笹を囲む長机に近づいた。

すぐそばまでくると、短冊に書かれた願い事が見えた。

子供の字で書かれたヒーローになりたいという願い事から、好きな人に振り向いてもらえますように、という今の私なら共感できる願い事まで、たくさんあった。

それらの短冊を見て、すぐに願い事が浮かんだ。

「じゃあ、私あっちで書くから、芹沢くんこっちで書いて? お互い内緒だよ? 願い事」

私はうきうきした声を放つ自分の唇に人差し指を当て、小走りで反対側の机に向かった。