教室が変わってからは数か月が経ち、カレンダーは淡い紫色のあじさいとパステルカラーの雨粒が描かれた6月になっていた。

日付は、その中でも終わりに近づいた頃。その頃には、芹沢くんは私の時間の中心にいた。

授業中には用もなく振り向いてみたり、昼休みには話す前に寝てしまった芹沢くんの寝顔を見て得をした気分になったり、なんならつい笑顔になってしまったり。


学校へ行く楽しみは、すっかり芹沢くんに会うことになっていた。

その楽しみというのも、去年 友達になろうとしていた頃とは違うものだった。


家に帰ってきた今も、私はちらちら芹沢くんのことを考えていた。

次第に、芹沢くんのことよりも、芹沢くんのことを考えてしまうこの現象が気になるようになってきた。


「はあっ。うああ……」

比較的 得意な内容を書いていたシャーペンをノートの上に放り、首を反らして目を閉じた。

一体なんなんだろう。なにが私に芹沢くんを気にさせているのだろう。


ふと1つの解決策が思いつき、私は傍らに置いてあった携帯を手に取った。すぐに検索アプリを開く。


『男友達 気になる』

素直な気持ちを検索にかけた。少しして画面に浮かんだのは、私が自分のこととして捉えたことのない内容だった。

記事を開いたりすることなく、私はこの不思議な気持ちの正体がわかった。