それから数日もの間、芹沢くんは飽きずに「また来やがった」と言い続けた。
私も、飽きずに「嬉しいくせにい」と返し続けた。
そのやり取りは、今日の昼休みにも行われた。それでも結局、3人で楽しい昼休みを過ごすというのがおちだ。
私が入っていって、また来やがったと言われ、結局3人で話す。
それを全部で5回ほど繰り返したこの頃には、2人と過ごす時間、いや、芹沢くんがそばにいる時間が本当に楽しいと感じるようになっていた。
その時間が終わってしまえば忘れてしまうほどにくだらないことを話す昼休みも、大嫌いな勉強を教わっている授業中も。芹沢くんがそばにいる全ての時間が楽しくなっていた。
全6時間の、楽しいと感じるようになった時間を越え、ベッドであぐらをかいている今。
右耳には、芹沢くんを呼ぶコールが聞こえている。
特に話したいことなんてない。電話を掛けた理由は、強いて言うなら、ドラマチックに“声が聴きたかったから”。



