昼休みになると、私たちを含め半分近くの生徒が昼食を摂るためにグループを作った。

あとの半分は、見るからに自分のペースを大切にしそうな人たちで、彼らは1人でお弁当をつついていたり、売店のパンをかじったりしている。


「愛、今日も怒られてたね」

お弁当の中身が半分ほどなくなった頃、前にいる咲菜が、水筒の蓋を開けながら楽しそうに言った。

私は「本当だよ」と返し、気まぐれでふりかけをかけたご飯を口に入れた。

ふと、減りの悪い綾美のお弁当の中が見えた。


「……綾美大丈夫? 最近元気ないみたいだけど 」

私が顔を覗き込むと、綾美は口元に笑みを浮かべた。

「大丈夫。ちょっと眠いだけ」

「寝不足?」

「まあ……そんなとこ」

そっか、と不安の残るまま頷くと、咲菜が綾美に「食べ終わったら寝た方がいいよ」と言った。

あたしはどんなところでも寝れるから、といった綾美の言葉を求め、「ちょっとうるさいけどね」と笑ってみても、咲菜が「確かに」と笑っただけで、綾美は黙っていた。