席は、出席番号順に窓際の一番前から横に並んでいた。私の席は一番窓に近い列の前から3番目だった。
咲菜と、席まで近くになることはできなかった。彼女の席は、私の席から3列も離れている。しかも後ろの方だ。
隣も前も知らない人か、と思ったとき、後ろの席に誰かが座った。どんな人だろうと思い振り向いてみると、しばらく会っていない整った顔があった。
私と目が合うと、その顔は驚いたように小さく口を開けた。
「芹沢くんじゃん」
「笠原」
「よろしくね」と笑顔で返し、自分から芹沢くんまでの席を数えた。
「……25番?」
「そう。去年は20」
「そうなんだ。私は去年……そう、13番」
「早いね」
「ああ……そうなのかな」
そう言うと、私はふふっと笑った。
「なんか、すごい楽しくなりそう、1年間」
「そうだな」と芹沢くんが言ってくれたところで、退屈な時間の始まりを告げるチャイムが鳴った。



