楽しかった春休みも明け、学年が1つ上がる日となった。春休みの後半は、咲菜が私の家に来ることが多かった。
なんとか自転車にまたがっていた重たい体は、昇降口の前に貼り出されたクラス表の前に群がる生徒たちを見たら一気に軽くなった。
どんなクラスになったのだろうと楽しみな気持ちと、ほどよい緊張感を抱いてクラス表の前へ行った。今は3枚目の紙を見ている。
小学校や中学校とは比較にならないほど多いクラス。なかなか自分の名前が見つからないとめんどくさくなってくる。
「あ、かー……あっ、いた」
笠原 愛、2年3組17番。
自分の名前を見つけるまでに、『大野 奏』の文字を見つけた。
咲菜の言っていた通りだと思った。彼女が言うには、これからぐっと距離が縮まる――。
いや、そんなことはないと言い聞かせて首を振った。