干しぶどうをつまみながら話しているうちに、話題はお互いのクラスの様子になった。
「2組は……ゆるーんって感じなんだっけ?」
変なことをはっきりと覚えている咲菜に一度苦笑してから頷いた。
「良くも悪くも、緊張感はゼロ。私は嬉しいけどね」
「羨ましいなあ。3組はね、本当に真面目だけが集められたようなもんだよ。やつらは、学校に行く理由を勉強するためだと本気で思ってる」
そうなんだ、と答えながら、頭の片隅に“大沢コンビ”のことが浮かんだ。綾美は、彼らは決して真面目な生徒ではないと言っていた。
だけど、咲菜の言葉からは3組に不良や問題児がいるようには思えない。
「……あのさ。大沢コンビ……だっけ? あの2人は普段、どんな感じなの?」
大量の干しぶどうに手を伸ばしながら訊くと、咲菜は一瞬驚いたように口を開け、その後にやにやと嫌な笑みを浮かべた。
「やっぱり愛、大くんのこと好きなんだ」
咲菜はにやにや顔のまま言ってきた。
「だから、奏くんに興味はないって」
否定しながら干しぶどうを口に入れ、部屋全体を見渡した。勉強机に、2巻、3巻、9巻と3冊の漫画が積まれているけど、恋愛ものではない。
咲菜は なにに影響されているのだろうか。



