11月の最終日。この日は、寒さが自分を殺しにかかっているのではないかと感じるほどに寒かった。

昼食後 眠気に襲われた僕は、腹部と両手の計3つのカイロと共に久々に教室を出た。間違えても教室まで走るなんてことはないようにしなくてはと思いながら目的地を探す足を進めていると、結構な勢いでなにかにぶつかった。

咄嗟にポケットから出してついた両手に鈍い痛み感じ、自分が尻もちをついたことに気づく。

「やだっ、奏くん?」

軽く混乱している相手は女子だった。上履きの色からして同じ学年だ。

顔を確認すると、コンビニで栗原さんの隣にいたという女子だった。何度か遭遇した雰囲気から、瞬くんの友達だと記憶している。

よく見たことはなかったが、かなりかわいい人だなと思った。透き通るような白い肌と、優しい目が特徴的だ。

「ほんっとごめん。……大丈夫?」

彼女は優しく言うと、手を差し伸べてくれた。彼女のその雰囲気が、なぜか中1の頃の瞬くんと重なった。

あの日、帰りに寄った公園のブランコでぼんやりとしていた僕に声を掛けてくれた、瞬くんと。