「おう、奏」

「あっ、瞬くん」

学校の近くの十字路のようなところへ続く道を左に曲がろうとしたところで、前方から瞬くんが来た。ここで彼と会うのは、通学路の途中で他校の男子生徒とすれ違うよりも確率が高い。


僕たちは簡単に挨拶を交わすと、ハンドルを左に切った。ここをもう少し進んで、もう一度左に曲がって100メートル近く続く桜のトンネルを通れば到着だ。

あのトンネルの中は、満開の頃は綺麗だと思って通るが、時期が過ぎた直後はやつが降ってこないことだけを願って通る。