想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


鞄と一緒に出た外は、気象予報士の言う通り寒かった。乾燥した冷たい空気に包まれると、無意識に体に力が入った。


「ああー嫌だ。冗談じゃない」

白い息に心の声を乗せながら、自転車を押して家の敷地を出た。決して重くはないペダルを漕げば、冷たい空気が風になった。ばかなのかと思うくらい寒い。

家から学校まで、距離はそう遠くない。調子がいいときなら、自転車で15分も走れば着くくらいだ。僕があの学校に入学したのは、それが一番の理由だった。


通学路の途中、今日も男子の集団とすれ違った。制服からして、彼らは市内の少し遠くにある私立高校の生徒だ。ほぼ毎朝彼らを見るが、その度に面倒ではないのかと思ってしまう。ぱっと見ただけでも5人はいる集団だ。


僕は友達なんて1人もいれば十分だと思っている。なんなら、中学校に上がるまでは必要ないとすら思っていた。中1の春、瞬くんに声を掛けられるまでは。