目を覚ましたのは、8時25分という日の昇った時間だった。寝起き一発目は驚きの声と深いため息。
8時25分を示しているのは、天敵だけでなく壁の時計や携帯もそうだった。
「ちゃんと起こしなさいよ」と天敵に叫んでみても、当然のようになにも変わらない。むしろ天敵が「お前が起きなかったんだろ」と言っているようにも見え、腹が立つだけだった。
転がるようにベッドから降り、厚手の素材に変わったパジャマからブレザーが増えた冬の制服へ着替える。髪の毛をとかすのとお弁当作りはお休み。
お小遣いがまだいくらか残っているはずだから、購買部でなにか買えばお昼はどうにかなる。
部屋を飛び出し、さぼるわけにはいかない洗顔と歯磨きを済ませると、リビングのソファに放ってあるバッグから財布を取り出し、学校の鞄に突っ込んだ。
お母さんの「いってらっしゃーい」というのんきな声を背中で聞きつつ玄関を飛び出すと、自転車のかごに鞄を放り投げ、壊れてしまうのではないかというくらいの勢いでスタンドを上げた。



