いろいろ話していて歩くペースが遅くなったのか、私が教室に入るのはドアになにかをぶつけた小嶋と同じタイミングになってしまった。

小嶋が出したがたんという大きめの音に、驚きだったり笑いだったりで教室内のいくつかの肩が揺れた。

「笑われてますよ」とおちょくりながら席に着けば、「遅いぞ」と関係のない言葉が返ってきた。

小嶋が1つ咳払いをすると、日直が号令を掛けた。私はその間に教科書やノートを机に出し、挨拶が終わるやいなや机に突っ伏した。

「おい笠原」と突っ込むような小嶋の声が聞こえた気がしたけど、気にせず腕を枕にして目を閉じた。