宿題が終わってからも芹沢くんに電話を掛けることはできないまま、日付は変わり昼休みになった。

私が散歩をしている今、一緒にお弁当を食べた綾美は教室で昼寝をしている。

教室を出る前、「いつも同じことして飽きないの?」と言われたので、「全然」と答えたあと「寝ちゃうなんてもったいないよ?」と付け加えた。毎日 同じ所しか歩いていないけど、決して飽きはしない。

綾美にはもうずっと内緒にするつもりだけど、芹沢くんに会っているから。


やっぱり食後は眠くなるな、と思いながら歩いていると、いつもの場所に着いた。1階の薄暗い廊下、掲示物が貼られている壁の前。

だけど壁は、2学期になってからもうしばらく経ったからか、掲示物がほとんどなくなっていた。

次はどんなものが貼られるんだろう、と思いながら少し寂しくなった壁を眺めていると、楽しそうな男子の話し声が聞こえてきた。芹沢くんの声と、わかりやすい大野くんの声。まめに笑い声が入る。

なにを話しているのだろうと気になり、近づいて来る2人を見てみると、芹沢くんがそれに気づき声を掛けてくれた。