あれから、さらに3日ほど連続で綾美からの誘いを断った。さすがにそれだけ断り続ければ、綾美もお誘いのメールをくれることはなくなった。
人生初、宿題を1人だけで終わらせて迎えた2学期の始業式。熱風を受けながら、喉は渇きまくったものの無事に学校に到着した。
自転車から降りて腕で額の汗を拭うと、後ろからやる気のない女子の声に名前を呼ばれた。
「いえーい、ベリーバッドモーニーング」
少し変わった言葉を並べて私の隣に自転車を止めたのは、夏休み中1週間近く誘いを断り続けた綾美だ。
「ベリー、バッド……?」
「最悪な朝。グッドなモーニングなわけないじゃん」
グッドとモーニング分けちゃうんだ、と苦笑したけど、綾美に届いたかどうかはわからない。
「ああ嫌だ。なんだっけ? 髪の毛とか制服とか検査しちゃうよキャンペーン……だっけ? もう最悪。スカート長すぎだっつうの」
ぶつぶつと文句を言いながら自転車を降り、自転車置き場へ入って行く綾美の隣につく。
「キャンペーンではないと思うけど……」と言って返ってきた、「じゃあイベント?」という綾美の言葉に、「そっちの方が近いかもね」と返した。